サムライ証券のSAMURAI FUND

クラウドファンディングにまた新しいサービスが出てきました。SAMURAI FUND と言います。これはサムライ証券が実施するもので、社会的なことを目指すファンドではなく、純粋に投資目的のファンドです。

再生エネルギー関連のファンドに期待して投資していて、かなり手痛い目にあったので、ちょっとクラウドファンディングには慎重にならざるを得ないのですが、一応内容を確認してみました。

SAMURAI FUND のホームページに行って目につくのは「延滞、貸し倒れゼロの実績」という文字。他のクラウドファンディングで延滞や貸し倒れを相当経験していますから、「本当かな?」と猜疑心一杯で内容を見ていきましたが、今まで投資したファンドとの違いが分かってきました。

大きな違いは、「これから事業を立ち上げるから出資して!」というタイプではなく、「既にやっている事業でキャッシュが必要なので貸して!」というタイプであること。つまり、利益が全くないところからスタートする事業ではない。そして「利益が出るまで3年待ってね」とか、期間が長いものではなく、5ヵ月から11ヶ月と、おおむね1年以内に完結するものばかり。

つまり、海のものとも山のものともわからない、これから始める事業ではなく、既にやっている事業、あるいはその一部のキャッシュニーズに対応したファンド、ということのようです。

そうであれば、「延滞、貸し倒れゼロの実績」というのは、ある意味当然のこと。今日かなりやばい企業に貸し付けるわけではないでしょうし、審査を通った企業が半年くらいの短期間資金を借りるわけですから、返せる可能性が高い、ということなのでしょう。ただし、利回りが保証されているわけではもちろんなく、「目標利回り」が設定されているだけで、実績として、どれくらい目標を達成したのか、というデータはトップページには表示がありません。

目標利回りは3~7%と、今どきにしては結構高いですが、実際の運用期間は半年前後が多いですから、出資額の3~7%がもらえるわけではありません。逆に言えば借りる企業側も3~7%を支払うわけではありませんから、短期の運営資金の調達方法としては、それほど悪くはないはずです。

経験上、この手のファンドは、期間が長くなってもリターンの期待値が増えるわけではなく、むしろ、事業が行き詰まるリスクが高くなるように思います。可能性が高いベンチャーは、ベンチャーキャピタルが出資しているのでしょうね。そうしたところから資金調達ができない企業がクラウドファンディングに流れてきているとしたら、「これから事業を始めます」というファンドにはあまり手を出さず、短期間で繰り返し運用できる SAMURAI FUND の方が、着実と判断します。