ソーシャルレンディングで元本割れ

いろいろなタイプのソーシャルレンディングあるいはクラウドファンディングを試してきました。私が関心を持つのは、寄付型とか購入型と呼ばれるものよりも、主に投資型・貸付型と呼ばれるタイプです。

10年以上複数のサービスを利用してみた結果は、トータルで見ると惨敗、つまり大幅な元本割れです。投資先の企業がそもそも立ち行かなくなって倒産してしまったという例も多数。元本割れどころか、ケースによっては投資がほぼゼロになってしまっています。

なぜ元本割れになるか。実際には主に二つの理由があるように思えます。

一つはそもそも、リスクが高い事業への投資であった点。例えば地方で新たな商品開発を行う、と言ったパターン。応援したくて投資しても、事業ですから失敗するものも当然多くあります。予想外だったのは、元本割れを起こさない案件も、リターンが非常に小さく、事業が利益を上げてもファンド会社への手数料を差し引くと元本割れ、というものが多発。利回りが10%なんていうものはほぼないのに対し、‐70%とかは結構ありますから、元本割れは当たり前ですね。最近はちょっと固い貸付先や、商品が特典としてもらえるものなどに絞って継続しています。これだけ元本割れでは資金が持ちませんから。

もう一つは、いわばクラウドファンディング・バブル、あるいはソーシャルレンディング・バブルとでも言ったほうが良い状況。銀行金利が下がり、市場には資金がだぶついていますから、利回りの良い投資先を探してソーシャルレンディングにも多くの資金が流入しました。つまり、企業にとってはお金を集めるのがとても楽な状態。ソーシャルレンディングの会社も乱立しましたから、借り手の企業もどんどん見つける必要があったわけです。借り手の企業は詐欺を行っているわけではありませんが、「資金が調達できる」と事業をどんどん立ち上げたり、拡大したりして、貸し手はそれに気が付かずに「期待利回り」に惹かれて出資してしまいました。

でも、元々のビジネスモデルがしっかりしていなかったり、あるいは、あとから見てみたら借り手企業にとってはキャパオーバーな計画だったり。結局事業は立ち行かなくなって貸し倒れが発生。借り手にしてみたら、企業・事業を精算していくらかでも帰ってきたらまだまし、という状況になったとおもいます。これでは、少しくらい成功する事業があったとしても、トータルでは大幅な元本割れは避けられません。

結局、高い授業料を払うことになりました。元本割れの原因は「容易に資金が集まる」ことによる、需給バランスの崩れですね。そのために、いわば「格付けが低い」事業・企業がかなり借り手として混じってしまったということでしょう。欲に(高い期待利回りに)目がくらんだ投資家自身の狂乱が、大幅な元本割れを呼んでしまったという面は否定できません。